December 15, 2025

ボトルネックの解消: 高スループットの医用画像システムに 適したフラッシュストレージとは

ボトルネックの解消: 高スループットの医用画像システムに 適したフラッシュストレージとは
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コンパクトなシステムで要求される高解像度

医用画像システムのストレージに求められる条件は、ほとんどのシステムでは考えられないほど厳しいものです。スライド全体にわたる病理スキャン、AI診断、高フレームレートでの超音波診断と、いずれの用途でも途切れのないデータストリームが発生し、それに対応できる高速なストレージが必要です。厳しい温度とサイズ要件の範囲内で、一貫したパフォーマンスを維持しながら、すべてが滞りなく機能しなければなりません。一度のスキャンセッションでキャプチャされる画像は、複数のスライドにわたって全体で数百ギガピクセルに達する場合もあり、テラバイト単位の RAW 画像データが生成されます。

このワークロードは規模が大きいだけでなく時間的な制約も厳しく、遅延の許されないリアルタイムでの高解像度データの取得、バッファリング、分析が求められます。医用画像システムでは、こうした高スループットの書き込みを長時間持続する必要がある一方で、多くの場合アクティブ冷却は利用できません。モバイルカート、POC 診断機器、組込み手術機器はエアフローが最低限であることが多く、基板サイズにも制約があります。

ストレージに求められるのは、システムへの影響を最小限に抑えながら、安定して動作することです。キャッシュの遅延、フレームの破損、サーマルスロットリングによるパフォーマンス低下は許容できません。

システム設計者の多くは既製の SSD をそのまま用いて、機構、発熱、電源内蔵の問題に突き当たることになります。RAW データのスループットと同じくらいサイズと効率が重視される組込みシステムでは、この問題はより深刻です。Silicon Motion の FerriSSD ポートフォリオはこの問題に対処する独自アプローチとして、NAND、ファームウェア、コントローラを非常にコンパクトなパッケージに収めたシングルチップのソリューションを採用しています。インターフェースには PCIe Gen 3 x2/x4 または Gen 4 x4、SATA、NVMe を利用できます。最大 1 TB の容量と産業グレードの信頼性を備えた FerriSSD は、現代の医療プラットフォームに特有のパフォーマンスと統合のニーズに応える製品です。

FerriSSD: 統合ストレージアプローチ

FerriSSD は 20 × 16 mm という小型の BGA パッケージ 1 つにすべてのフラッシュコンポーネント、NAND、コントローラ、ファームウェアを集積することで、この課題に正面から対処します。外付けの DRAM、コネクタ、SSD ケースは必要ありません。この設計により、電力供給、シグナルインテグリティ、熱対策が簡素化されます。システム統合の観点では、BOM コストの削減、基盤の複雑さの軽減、組立て時間の短縮が実現します。機能の観点では、コンパクトなパッシブ冷却設計に適した電力プロファイルと熱プロファイルにより、高スループットを持続できます。

多様なインターフェース要件とシステム要件を満たすため、Silicon Motion の FerriSSD ファミリーは複数のシリーズから構成されます。

  • Ax シリーズ (PCIe Gen 3 NVMe 1.3):
    x2 または x4 の構成が用意されています。サイズとレイテンシが重視される、コンパクトな組込みプラットフォームや、AI 支援画像システムに最適です。
  • Cx シリーズ (PCIe Gen 4 NVMe 2.0):
    最大 7 GB/s のリード速度と 4.5 GB/s 超のライト速度 (SLC モード) を発揮する、最大容量 1 TB (3D TLC) のストレージをコンパクトな 16 × 20 mm の BGA に収めています。ナビゲーションデバイス、POS、MFP、シンクライアント、通信、ファクトリーオートメーションなどの組込みシステムと産業システム向けに、ハードウェア方式の暗号化などのエンドツーエンドの保護を搭載しています。
  • Dx/Ex シリーズ (SATA 6Gb/s):
    レガシーシステムやコスト重視の用途に最適です。低消費電力にも関わらず、産業グレードの耐久性と長期的な可用性が求められるシステムで確かなパフォーマンスを発揮します。

各シリーズが備える、産業グレードの使用温度範囲のオプションや、長いライフサイクルを通じた可用性などの特徴は、認証を受ける医療機器に欠かせません。

ピーク速度だけでなく、持続的なスループットを重視

理想的な条件で測定されたピーク性能を宣伝する多くの SSD とは異なり、FerriSSD は現実の持続的なワークロードのもとで安定したパフォーマンスを発揮します。医用画像システムは短時間で大量のデータを書き込むのではなく、持続的なデータストリームを生成します。また、レイテンシの急増や書き込みの停止は臨床データの完全性を損なうおそれがあります。

Silicon Motion のファームウェアスタックは、持続的な高負荷のワークロードに対応できるように設計されています。独自の技術である NANDXtend® ECC は、LDPC デコード、グループページ RAID 保護、インテリジェントなブロック管理を利用して、訂正不能なビットエラーを減らし早期の劣化を防ぐ技術です。これらの機能により、SSD の稼働寿命を通じて医用画像システムが安定したパフォーマンスを維持できます。

安定した治療を支える耐熱性

NAND への書き込みを連続的に行うと、特にパッシブ冷却の筐体では、内部で高熱が発生します。熱対策の施されていないストレージサブシステムの場合、システムのワークロードがピーク需要に達するとすぐに急激なサーマルスロットリングが発生しかねません。

FerriSSD には、ホスト制御 (HCTM) モードとデバイス制御 (DCTM) モードの両方に対応したファームウェアレベルの管理機能、IntelligentThermal™ が搭載されています。これらの熱プロファイルで温度上昇を予測し、NAND アクセスをプロアクティブに調整することで、スキャン中のパフォーマンス低下を防ぎ、長時間の画像処理セッション中に安定したスループットを維持できます。

FerriSSD の使用温度範囲は産業グレードのモデルで –40°C~+85°C、車載モデルでは最大+105°C です。そのため、周辺温度を制御できる範囲が限られていたり、制御できなかったりする移動診断プラットフォーム、屋外設置、救急医療などの環境に対応できる高い信頼性を発揮します。

用途: 持続的な負荷が生じるポータブル超音波診断装置

緊急対応要員向けに設計された小型の超音波診断装置を例に挙げます。このシステムは高解像度の動画をプローブからリアルタイムにキャプチャしてバッファに格納する必要があります。また、トリアージ用の AI 支援機能をデバイス上に搭載している場合もあります。

ワークロードは持続的で、電源はバッテリーに限られ、アクティブ冷却は不可能です。FerriSSD を用いる利点は次の通りです。

  • 高フレームレートの画像をキャプチャするために十分なスループット。
  • ファームウェア制御のサーマルスロットリングにより、高温な救急車内での連続的なセッションでも安定した運用を実現。

これらの機能により、ストレージソリューションを過度に複雑な設計にすることなく、コンパクトな耐候型の装置で信頼性の高い診断能力を発揮できます。

ライフサイクル、コンプライアンス、安全な運用

医療 OEM では、認証を取得した長寿命で安全なストレージソリューションがしばしば要求されます。FerriSSD は以下の特徴でこのニーズに応えます。

  • 長期的な可用性: 四半期単位ではなく数年単位の安定した供給が可能な設計。
  • セキュアブートとファームウェア更新に対応: デジタル署名付きファームウェアや、eFuse 保護 (オプション) など。
  • 電源喪失保護: 不慮の電源遮断の際に、データ損失リスクを最小化。

FerriSSD 製品は IntelligentLog™ テレメトリとプログラム可能な正常性監視にも対応しており、医療 OEM による予知保全の実装が可能です。

信頼性が必須の分野を支える製品

医用画像システムでは、失敗が許されません。生検中のフレーム欠損や、手術中のスキャン停止は、診断ミスや医療事故につながるおそれがあります。そのため、ストレージプラットフォームには速度だけでなく、予測可能で障害に強く、エンドユーザーが存在を意識せずに使えることが求められます。

タッチスクリーンの裏側に収まる小型サイズで、手術器具に利用可能な静粛性を備え、年中無休の診断インフラに採用できる堅牢なパッケージでこの信頼性を担保する製品が、FerriSSD です。

コントローラロジック、NAND 管理機能、エラー訂正機能を十分にテストされたシングルチップに集積することで、サイズ、電力、長期サポートのいずれも妥協しない、医療グレードの要件に最適なストレージソリューションを提供します。

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