November 10, 2025

2015年の先見性から今日の普及へ:Silicon MotionがSD Express時代をどのように定義したか

2015年の先見性から今日の普及へ:Silicon MotionがSD Express時代をどのように定義したか
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近年、8K超高精細映像、プロレベルの撮影、そして次世代フラッグシップゲーム機によるデータ転送量の爆発的な需要に伴い、従来のメモリーカードインターフェースの性能ボトルネックが益々顕著になってきている。

SD ExpressはSDカード規格における革命的なブレークスルーとして、このような背景の下で誕生した。その性能はSSDに匹敵し、ポータブルデバイスのストレージ基準を再定義した。Silicon MotionはSDアソシエーションの長年に亘たる中核コアメンバーとして、先見的な戦略的布陣および豊富な技術蓄積を基に、極めて重要な産業推進役を担っている。

変革の起点:2015年の先見的な提案

物語は2015年に遡る。当時、SDカード市場の主流は依然としてUHS-IおよびUHS-IIであった。UHS-IIはピン数の追加により、転送速度を向上させたものの、そのアーキテクチャは既に物理的な限界に近づいており、将来の加速的な性能向上の要求を満たすことは困難であった。

産業は正に岐路に立たされている:既存の枠組みを補修し続けるべきか、それとも全く新しい道を探るべきか?

Silicon MotionのCEOである苟嘉章氏(Wallace Kou)は市場に対する鋭い洞察力を以って、将来のデバイスがより高いI/O性能を求めるようになることを予見していた。同時に、PCIe技術がその高帯域幅、低遅延、優れた拡張性により、PCおよびモバイルデバイスにおける主流インターフェース規格となりつつあることを逸早く認識していた。

Comparison of bus speeds

従って、彼は当時のSDA取締役会にて、極めて画期的な戦略構想を正式に提案した——即ち成熟した高速PCIeインターフェース技術およびその対応するNVMeプロトコルをSD規格に全面的に統合するというものであった。

この提案の戦略的意義は従来のSDバスによる制約から完全に脱却し、SDカードを主流のコンピューティングプラットフォームと同等の高性能「PCIeエコシステム」に統合することで、SDカードの将来の発展に対して、新たな可能性を切り開く点にあった。この構想はSD Express規格の最終確立に向けて、明確且つ実現可能な技術的方向性を提供するものでもあった。

構想から実践へ:基盤技術の土台を築く

画期的な構想が提案から実現に至るまでには、数多くの技術的課題を克服する必要がある。元々PCプラットフォーム向けに設計されたPCIe/NVMe技術を消費電力・放熱・サイズなどの厳しい制約を持つSDカードに完全に移植することはほぼ不可能に近い任務であった。

SDAがこの構想を承認し、技術的実現可能性の研究を開始した後、Silicon Motionは迅速にチームを編成し、積極的に研究開発に取り組んだ。Silicon Motionのエンジニア達は限られたSDカードスペース内でPCIe信号の完全性を維持する方法、超低消費電力でNVMeプロトコルをサポートする為のコントロールチップ(コントローラ)の最適化、そして既存のUHS-Iホストデバイスとの下位互換性を確保する方法等、一連の技術的課題を解決する必要があった。

20年以上に亘るコントローラ分野での豊富な技術蓄積を背景に、Silicon Motionは業界に先駆け、「コントローラレベル」の製品プロトタイプおよび初期技術検証プランをいち早く発表した。この一連の動きはPCIeを採用したSDカードが技術的に完全に実現可能であり、且つ高い商業的発展ポテンシャルを有することを業界全体に知らしめるものでした。

新時代をリード:SM2708が産業エコシステムの発展を推進

2002年のSDA加盟以来、SD規格に対する深い研究および継続的な貢献に基づき、SD Express規格が成熟し、市場需要が急成長する中、Silicon Motionは再び先機を捉え、世界初のSD Express 8.0コントローラ「SM2708」をリリースした。

SM2708の登場はSD Expressにとって、「標準」から「製品」へと移行するマイルストーンを象徴しているものだ。

技術仕様面ではSM2708はSD 8.0規格に完全準拠し、PCIe Gen3 x2チャネルをサポートすると共に、高性能なNVMe 1.4プロトコルを搭載していることにより、理論上の読み書き速度は最大1.7 GB/sに達し、内蔵SSDに匹敵する超高速な読み書き体験を実現する。

技術面での優位性として、SM2708はSilicon Motionが独自開発したLDPC誤り訂正コード(ECC)技術、エンドツーエンドのデータパス保護、および高効率な電源管理機構を統合しており、高速伝送プロセスにおけるデータの安定性および信頼性を確保している。

その先進的な性能、高い安定性、そして成熟した量産能力により、SM2708は瞬く間に世界中の主要ストレージブランドの第一選択肢となった。Samsung、ADATA、Lexar、Biwin等の業界の主要リーダー各社は既にSM2708コントローラを採用し、各社のSD Express製品の開発・投入を加速させている。これにより市場選択肢が大幅に拡大され、SD Expressエコシステムの成熟化が更に促進されている。

たとえば、Samsung が新たに発売した P9 Express microSD Express カードは、Silicon Motion 製の SM2708 コントローラを採用しており、ゲーマーに新たな体験を提供します。このカードは Nintendo Switch 2 で優れたパフォーマンスを発揮し、PCIe と NVMe 技術、ホストメモリバッファ(HMB)対応、そして Dynamic Thermal Guard を組み合わせることで、超高速な転送速度と安定した性能、長時間のプレイにも耐える高い耐久性を実現しています。これにより、Silicon Motion が次世代ストレージエコシステムの発展を牽引する重要な役割を果たしていることが改めて示されています。

現在、Silicon MotionのSM2708コントローラを搭載した高性能SD Expressカードは次世代ゲーム機、高性能ゲーミングPC、AIワークステーション、プロフェッショナルクリエイター向けPC等に広く採用されている。

2015年の戦略構想からSM2708の量産化、そして今日のSD Expressエコシステムの急速な発展に至るまで、Silicon Motionの産業に対する先見性および技術的リーダーシップは実践を介し、十分に実証されてきた。

将来を見据えると、ドローン、プロフェッショナル撮影、AR/VR等の分野におけるリアルタイムデータ処理能力への需要が高まるにつれ、SD Expressの応用シーンは更に拡大していくことが予想される。Silicon Motionは今後もグローバルなエコシステムパートナーと連携し、高性能ストレージ技術の発展および普及を共に推進していく。

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